その恋、ください。
ある日、いつもより少しはやめに家を出た。
「いってきます・・・」
そう言って玄関から出る。
すると、こたの家に笑顔で向かう樹里ちゃんを見た。
なんだか、
見ちゃいけない気がして
気付かれたくなくて
足をはやめた。
でも
「あれ、りりあちゃん・・・だっけ?」
って声をかけられた。
ドキっ、として
顔が熱くなったのを今でも覚えてる。
「あ・・・はい・・・」
一応、樹里ちゃんは先輩だから
あいさつする。
「中学校って大変だよね!」
なんて笑顔で笑うんだろう。
私にはあの笑顔は真似できない。
今、幸せです。って感じ。
「今度さ、一緒に遊ぼう?瑞樹のこと色々聞かせて!」
そう言って私に手を差し出した。
ここで、握手したら負ける気がした。