その恋、ください。
第3章
あちこちでするせみの鳴き声。
去年まではうっとおしくて仕方なかったのに・・・、
なんでかな、今年は全然気にならないや・・・。
「っえぇぇぇぇええ!?」
「ちょ、声でかーい!!」
あたしは慌ててゆりの口を押さえる。
この子はゆり。
あたしと同じ、吹奏楽部でトランペットをやっている。
中学に入ってできた、友達の1人。
「凜樹から告白?すごいじゃん!」
「すごかぁないの・・・。あたしにしちゃあ気まずい・・・」
ゆりはすごくお姉さんっぽい!
普通に見たら中3くらいに見えるんじゃないかなぁ・・・。
あたしの相談とか、よくのってくれる。
「あたし、夏休みは毎日部活でいいやぁ・・・」
「なーに言ってんの!夏休みなんだから彼氏作って楽しもっ!」
「・・・ゆりだっていないじゃん・・・。」
「いーのいーの!これから作るんだっ♪好きな人いるし・・・」
「それ初耳!だれだれ!?」
「今度ねっ」