その恋、ください。
「こら、1年生!喋らないで!」
先輩からの注意を受け、練習を始めるあたし達。
あたし達はまだ入部したてだから、
基本しかやらせてもらえない。
先輩達は、夏のコンクールに向けて練習してるけど。
「あーもうダメ!!息使いおかしくなりそう!」
ゆりが呼吸を荒くしてあたしに言った。
確かに、練習はハード。
きっと運動部から見たら、
クーラーきいてて
座ってるから、楽。
とか思われてるんだろーけど。
吹奏楽部がこんなに大変だなんて、知らなかった。
肺活量を増やすために、筋トレだってするし。
楽器を運ぶのも大変だし。
・・・今までだったら、
こんな話もこたにしてあげられたのになぁ・・・。
こたはいっつも、吹奏楽部が羨ましいって言ってた。
サッカー部のグラウンドからいつも吹奏楽部が見えて、
涼しそうだ、って言ってた。