その恋、ください。
「おいおい、瑞樹。」

なにかと思って声の方を向く。
するとさっきのヤツの指さす方向に・・・。

赤いランドセルをしょった、りりあがいた。

「っ!!!」

急いで駆け寄る。

「りりあ!?なにしてんの、こんなとこで!」

「こたのこと見たかったの!」

「・・・おいで。」


りりあが来るのは週に一回。
水曜日の放課後、フェンス越しに・・・。

俺は門を開け、りりあを通した。


「こっちのほうがよく見える」

「・・・いいの?」


りりあは嬉しそうにニヤニヤしながら入ってきた。

「瑞樹~怒られてもしらねぇぞ?」

「いいって。俺が入れたんだから。」

そうしてる間にりりあはちょこん、とベンチに座った。


「おーい!ゲームするぞ~」


部長の掛け声で、一斉にみんなが集まる。
いわゆる、紅白戦だ。
俺は青いゼッケンの10バン。
エースナンバー。


あの時、無様な格好は見せられない。


カッコよく見せたい。



そう思ったのを覚えてる。




・・・・りりあがいたからだろうか。




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