~先生と私の秘密~
一気に全身に緊張がはしる…。
「澪…大丈夫。絶対に大丈夫だよ」
沙織が背中をさすってくれた。
「うん…」
そして遂に、大ホールに流れる開演5分前のベル。
「皆…ちょっと来て」
三枝ちゃんの周りにクラスの皆が集まる。
「これから、いよいよ始まります。ずっと練習だって休み返上で頑張ってきたよね。成果を存分に出そう!頑張ろうね!楽しもうね!」
円陣を組んで気合いを入れる。
楽しむ…。
私が楽しまなくちゃ、観に来たお客さんも楽しくないし、感動できない。
私の全てを総動員して、お客さんと感動を共有したい…。
よし!
気合い満タン!
先生は相変わらず、私を見ようともしないし近づいても来ない…。
…先生、見ててね。
…私、頑張るから。
【ご来場のお客様にお知らせ致します。音の鳴る電子機器のご使用はご遠慮下さい。フラッシュ撮影は禁止とさせていただきます。また、本公演の無断転載や二次制作などはご遠慮下さい。
最後になりましたが、本日はお越しいただき、本当にありがとうございます。一から作り上げた私達の力作を是非お楽しみ下さい。
それでは、最後までごゆっくりお楽しみください…】
三枝ちゃんのアナウンスが終わり、開演を告げる本ベルが鳴り響く。
幕がゆっくりと上がり、客席を映し出す…。
いよいよ…公演が始まった。