~先生と私の秘密~



「そ。ここは基本的には俺しかいないよ。他の先生は職員室にいるから。」



「そうなんだ。」



「それに、ここの方が集中できるし。」



「先生の秘密基地だね。」



「おう、秘密基地!」


そう言った先生は子供みたいに笑った。


あ。この顔、好きだな。



「これって明日の?」


私は開いてあった教科書の
ページを指さす。



「そう、予習。」



「だから先生の授業って解りやすいんだね!」



「そうか?」



「うん!先生の授業のおかげで嫌いな数学が少しずつ好きになってきたよ!」



「それは嬉しいな。さんきゅ。」


教官室に夕日が差し込む。



「綺麗な夕日・・・。」



「なあ、柏木。」



「なに?」



「ここでならお前の言いづらい悩みとか話とかも聞いてやれるから何かあったら、いつでも来いよ。」



「うん!ありがと!」


先生にこう言ってもらえると
特別みたいで嬉しいな。



「あ、先生。これあげる!」



渡したのは、くまちゃんの手作りクッキーたち。



「孤児院の子達が先生へのお礼だって作ってたよ。あと、唯先生からの手紙も入ってるから。」




「ありがとう。って言っておいて。」



「うん!じゃあ、そろそろ帰るね!」



「おう、気をつけてな。」



「うん、ばいばい。」



先生との秘密がまたひとつ
出来た。


もっと近づきたい。なんて
欲張りだよね・・・。



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