薔薇色の人生
その話が本当ならば、優子を人質にしての交渉が進んでいるという事だろう。そうなると完全に動きを封じ込められてしまう。何とかしなくては…優子は唇を噛み締めた。強司達は牧場の居間で善後策を話しあっていた。強司はイライラしながら部屋中を歩きまわり、渉兄さんはソファで脚を組んでタバコをふかしながら煙で輪を作っている。『兄さん!何でそんなに落ち着いていられるの?誰かに協力要請しに行ったと思ったら、後は黙って落ち着いていろなんて…。こうしている間にも優子さんの身に魔の手が迫っているかもしれないっていうのに』兄さんは輪っかを作りながら『こら、部屋の空気を動かすな。輪っかが乱れるだろう。心配しなくても優子ちゃんは無事だ。それよりあと1時間もしたらお前の出番がくるぞ。改めて覚悟を決めておけ』時刻は日付をまたいで12月24日になった。そうか…色々あって忘れていたが、今日はChristmasイヴだ。希望園では飾り付けは済んでいるだろうか…などと考えながら窓から月明かりに浮かぶ山の稜線を眺めていた。
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