薔薇色の人生
なんて澄んだ目をしているのだろう。強司が本気で惚れてしまうのがわかる気がした。《いずれ鬼塚さんにお手紙を書きます。ただ今は問題を起こしてしまった子の事で精一杯なので…すみません。それとこの施設の土地の持ち主から退去を迫られていまして…。その話し合いに来られたので…》優子は机に置いてある名刺に気づいた。この施設は地上げの対象になっていて、しかも相手が悪すぎる。おそらく精神的にかなり追い詰められているに違いない。『さっきは大声を出してゴメン。あんたの気持ちはわかったよ。強司にはアタシから説明しておくから。この問題が片付いたらまた映画に行ってやってくれ』と言って園を後にした。車を牧場に向けず、優子は一つの決断を胸に秘めて街に向かった。