【短編】君と赤に染まる僕
そして、ご飯を食べ終え、車に乗り込んだ。
「坊ちゃん、なんだか嬉しそうですね」
「そ、そうかな?」
「はい」
きっと、クロムが言うんだからまちがいない。
でも、なんで嬉しいんだろう?
人のいる所に行くのに……。
何故なんだろう?
「それは、きっと夜美様に会えるからですよ」
クロムは僕の心を読める。
「そうなのかな?」
「きっと、そうですよ」
クロムの優しい微笑み。
僕はそれを見て頷いた。
「そうだね」
僕はずっと、外の風景を眺めていた。
空。
建物。
色々な物を……。