焼き芋焼けた
 彼等はそれまでの人生の中で、煩わしいことを労力を使わずやり過ごす、ある種のずる賢さを身に付けて来たのです。
 要領良く、狡猾に知恵を付けていく者達の中にあって、私だけが取り残されたように幼い日の想いに執着し続けていました。今にして思えば滑稽にさえ感じますが、私にはずっと、それが最も重要なことだったのです。
    
 正義感一一幼い日に誓い育てて来たその想いは、母親の存在を除けば、君に出会うまでの人生の中で唯一私を支えてくれたものだったのです。
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