君待駅
「ずっと…会いたかったんです。もう一度…あなたに。」

「え?」

「あの時…助けてくれてありがとうございました。
とても…助かりましたし…嬉しかったです。
それに…あ、ジャージも貸していただいて…。」


私はカバンの中からジャージを取り出した。


「私…あの時自分で思っていたよりも混乱していたというか動揺していたというか…
なので…あなたがそばにいてくれて…とても安心しました。
だからどうしても…お礼が言いたかったんです。
本当にありがとうございました。」


私は頭を下げた。
やっと…会うことができた。そして言えた。そのことが嬉しくて、私は顔を上げて彼と目が合うと、にっこりと微笑んだ。
その途端、彼がふいっと下を向く。


「え…あの…私…何か?」

「あー違うんだ…ごめん。その…笑った顔…初めて見たから…。」

「えっ!?」


右手で顔を隠したままの彼。
指の隙間から見える、彼の顔の赤さが私にも伝染する。

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