君待駅
「悪ぃっ!!ごめ…そんなつもりじゃなくて…。」

「えっ?」

「あ、いや…だから抱き止めるとか…あー…俺、余裕ねぇ…。」


また顔を右手で押さえる茅野くん。


「私も…余裕なんてありませんよ?」

「え?」


私は茅野くんの顔を覗き込んだ。



「今、すごくいっぱいいっぱいです…。
なんか…どうやって話せばいいのか…よく分からなくてっ…。」


やっぱり言葉がまとまらない…。
私はいたたまれなくなって目線を下にずらした。



「次は百合坂ー百合坂です。」

「あ…私次で降りるんです。」

「え…?もしかして…百合坂女子高?」

「あ…はい…。
あの…茅野くんは…?」

「俺は菊風高。」

「じゃあ次の駅ですね。」

「ああ。」



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