君待駅
* * *


電車に揺られながら2週間前のことを思い出す。


あの日は今日よりも混んでいて、私はいつものように端っこには行けなかった。
ドア付近の横に一応、自分の場所を確保する。
そしてドアが閉まりかけた…その瞬間だった。





「ちょー待てっ!!」



そう叫びながら入ってきた一人の男の子。
彼がギリギリ乗り込んだところでドアが完全に閉まった。



「ギリギリセーフ…。」


少し息が上がった彼の独り言がたまたま聞こえてきた。
思わず笑ってしまいそうになる。


そして少し近くに彼がいたまま、何事もなく電車は走り続けていた。

< 6 / 42 >

この作品をシェア

pagetop