一瞬の永遠を、きみと
「そうめげるな夏海。もう半分は過ぎてるんだろ?」
めげると言うよりはやる気と体力を失いかけているわたしの後ろで、何やらかさかさと渇いた音が聞こえる。
朗が、あの使い古した地図を広げる音だ。
「ばあちゃん家がここって言ってたから、また少し進んで、今はこのあたりかな」
朗は勝手にわたしの背中を下敷きにして、地図の上を指でなぞっていく。
それをわたしが見ることはもちろんできないけれど、おばあさんの家で見たそれが、まだ頭に残っていた。
おばあさんのあの店が、ちょうど出発した町と海の、真ん中よりも少し手前あたりだった。
あれからまた随分進んだから、もう真ん中までは辿り着いているはずだろう。
つまりわたしたちはもう、道のりの半分を過ぎてきたことになる。
残すはあと半分。
「……でもその半分が大変なんだよなあ。どうしよ」
もう半分、と言うよりは、まだ半分、といった感じだし。
昨日あれだけ進んだのに、それと同じだけまだ行かなくちゃいけないと考えるだけでうんざりする。
終わりなんて、ほんとうに来るんだろうか。
「だけど、いつかは終わる。終わらないものなんてないんだから」