一瞬の永遠を、きみと
第6章:途切れた道
しばらくの間は、田んぼしか見えない道が続いた。
確か、この山脈に囲まれた田舎町を抜ければ、ある程度開かれた街に着くはずだ。
その街をさらに抜けた場所に、わたしたちの目指す海がある。
「……もっと早く街に着くと思ったんだけどなー」
重いペダルを漕ぎながら、ぽつりと漏れる独り言。
仕方がない、だってもう1年分くらいは自転車漕いでいるんだから。
地図ではたった数センチの距離なのに、進めども進めども一向に田んぼはなくならない。
日本の緑はなくなってきていると言うけれど、一体どこがなくなってるんだ。
こんなにもたくさんあるじゃないか。
むしろありすぎるくらいだ。
逆に街はどこだ。