一瞬の永遠を、きみと
「でも、もう少しだろ? さっきの神社がここだからー……今は、このあたりかな」
朗が、また当たり前のようにわたしの背中を使って地図を広げる。
さっき、神社があった場所の見当をつけてあげたから、そこからの距離を測っているのだろう。
地図に書かれた真っ赤な道のり。
その上を、わたしたちは進んでいる。
「もうすぐだな、夏海」
「え、なにが?」
「なにがってお前……海がだよ」
うーみ、と強調するように朗が言うので、わたしは少しだけ笑う。
「ああ、そうだね。あと3分の1ってとこかなあ」
「そうか。楽しみだな」
本当に楽しそうにそう呟いて、朗は地図上を指でなぞる。
その感覚を背中に感じながら、わたしは頭の中に、赤い道のりを思い描いた。