一瞬の永遠を、きみと
「少しは落ち着いたかな」
顔を上げると、わたしをここに連れてきた後藤さんという警察官がすぐ傍に立っていた。
笑顔を向ける彼に返事はせず、代わりに嗄れた喉を震わせる。
「あの、朗は……」
「大丈夫。病院で、今は静かに眠っているらしいよ」
「そう、ですか……」
よかった、それだけが気掛かりだったから。
苦しんでいなければいいと、思うことしかできなかったから。
わたしじゃ何もできないから。
わたしは朗を助けてあげられなかったから。
だから、これからわたしがどうなろうと、そんなことはどうでもよくて。
今この瞬間、きみが辛くないのなら、それだけで、よかった。
「……隣いいかな?」
後藤さんが、わたしが座っているソファの隣を目で示す。
小さくこくりと頷くと、彼は表情を崩して、わたしの隣に腰かけた。