一瞬の永遠を、きみと
朗が倒れて病院に運ばれて行ったあと、わたしは別の車で、この警察署へと連れて来られた。
これからどうなるのかなんて分からなかったけれど、もう、何を考えるのも億劫だったから、ただ言われるがままに従った。
だって、ひとりになってしまったわたしに、目指す場所なんて、もう、あるはずもないんだから。
後藤さんの話では、朗は誰にも言わないで突然いなくなったらしく、彼の親がずっと彼のことを探していたそうだ。
それで、朗と一緒にいたわたしは、事情を訊くためここに連れて来られたのだけど、いくつか質問をされただけで、今はもう、廊下のソファで休ませてもらっている。
知らない街の警察署は、遅い時間になっても人が多かった。
こういうものなのかな、それともここが特別なんだろうか。
考えたところで他の場所を知らないし、訊くほど興味があるわけでもないけれど。
ひとつ、小さく息を吐いた。
誰にもばれないようにこっそり、その溜め息に、溢れ出そうになる何かを紛れさせるように。
そしてそれはすぐに、騒がしい空気の中に溶けて消える。