一瞬の永遠を、きみと

海へ続く道は、緩い傾斜の上り坂になっている。

ここを上りきって、そして一気に下れば、そこが海だ。


太陽は大きく、白からオレンジに色を変えていた。

もうすぐ日が暮れる。

だけどなるべくその前に辿り着きたいから、急いで行かなくちゃいけない。



見た目では坂道とわからないくらいの緩い緩い坂なのに、なぜだか自転車は後ろへと引っ張られる。

それでも前へ進むため、ふたり分の重さを背負ったペダルを強く踏み込んだ。


前へ、前へ、必ず続くその先へ。

その思いだけで、もうどこまででも行けるような気がした。




ふいに、聞き慣れた電子音が響いた。

スカートに入っている携帯からの音だ。


「ちょっと取って」

「ああ」


朗が慣れたようにわたしのスカートから携帯を取り出す。


「メールだって」

「誰から?」

「トオル」
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