一瞬の永遠を、きみと


お前を初めて見つけたときのことは、今でもよく覚えている。







とても晴れた日だった。


俺は父さんに連れられて、名前だけ置いている学校に来ていた。


この高校の学長は父さんの古くからの知り合いらしく、その縁もあり俺は1年半ここに籍を置いていた。

だが、通えたことは一度だってない。

だから俺は、季節が一通り過ぎた今も、1年生のままだった。



父さんは、俺の進級のことについて話をしに来たらしい。


別に、卒業なんて出来なくてもいいのに。

俺はそう思っていたから、その日に無理を言って付いて来たのは、もちろん一緒にその話をするためなんかじゃなかった。



隣の部屋で休ませてもらっていなさい、そう言って学長室へ入る父親の背中を見送る。

見送って、隣の部屋は、横目にすら見ず通り過ぎて。

初めて着る高校の制服に身を包んだ俺は。

静かな廊下を、ひとり歩いていた。
< 274 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop