一瞬の永遠を、きみと
お前を初めて見つけたときのことは、今でもよく覚えている。
◇
とても晴れた日だった。
俺は父さんに連れられて、名前だけ置いている学校に来ていた。
この高校の学長は父さんの古くからの知り合いらしく、その縁もあり俺は1年半ここに籍を置いていた。
だが、通えたことは一度だってない。
だから俺は、季節が一通り過ぎた今も、1年生のままだった。
父さんは、俺の進級のことについて話をしに来たらしい。
別に、卒業なんて出来なくてもいいのに。
俺はそう思っていたから、その日に無理を言って付いて来たのは、もちろん一緒にその話をするためなんかじゃなかった。
隣の部屋で休ませてもらっていなさい、そう言って学長室へ入る父親の背中を見送る。
見送って、隣の部屋は、横目にすら見ず通り過ぎて。
初めて着る高校の制服に身を包んだ俺は。
静かな廊下を、ひとり歩いていた。