一瞬の永遠を、きみと
◇
「夏海、大丈夫か?」
「だい……じょうぶ、じゃ……ない……」
すっかり回復した朗とは裏腹に、わたしの体力は減り続ける一方だった。
あとは下り坂をのんびり下って行くだけだ、そう高を括っていたわたしの目の前に現れたのは、再び先の見えない上り坂。
山を侮っていた。
登って下って終わり、そういう単純なものではないのだ。
わたしは死ぬ気でいくつかの坂を上り、そして下り、今に至る。
ようやく山脈を抜け、これから平坦な道に入ろうということろだ。
普段運動なんてしてなかったのに、よくここまで頑張ったと、自分で自分を褒めてあげたいし、むしろ褒められたい。
ただ、わたしは一体何をしているんだ、という気持ちは、今もまだ消えないけれど。
それはまあ、仕方ないと思う。