一瞬の永遠を、きみと
下り坂からつけてきた勢いのまま、傾斜の無くなった道を進んでいた。
青かった空は、すでに夕焼け色に染まりつつある。
太陽が沈んだおかげで少し涼しくなったのだけは幸いだった。
「夏海、海にはもうすぐ着くかな?」
「そんなわけないじゃん。まだまだだよ」
「そうか、遠いんだなあ、海って」
少し不貞腐れたように朗が呟く。
不貞腐れたいのはわたしだって思いながらも言い返す元気はなくて、わたしはただゆっくりと、ほぼ無意識に自転車を漕いでいた。
「あ、あれ」
そのとき、朗がふいに声を上げた。
無心でペダルを踏みながらもその声で我に返り、つと顔を上げると。
道の先に、小さな固まりがあるのを見つけた。