てのひら


あの時、電車のアナウンスが
聞こえなくて車内で何が
起こっているのかは
わからなかった。



電車が止まっていることは
車内の人達の様子でわかっていた。



まあ、そのうち動き出すだろうと
思っていて窓を眺めていた俺に
詩史が近づいてきて
携帯の画面を見せてくれたんだ。




俺が納得すると詩史は
ふいと電車のシートに座った。



詩史は俺と視線を合わすこともなく
俺が先に電車から降りた。





帰り道、





何か胸のどっかで




引っかかっていた。




















< 14 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop