てのひら


視線の先に詩史がいることは
すぐにわかった。
シートにぼすんと座り、
携帯をおもむろに出してはメールを
するわけじゃなく、
サイトを見ている風でもない。


そうかと思えば、窓をずっと見てたり。







随分、つまんなさそうだな。







そう思った瞬間。
俺の中にあった何かが消えた。







そう、そうだ。






初めて逢ったあの時も
今日、この時も






詩史はつまんなさそうなんだ。








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