したたか舌打ち、ジメジメいじめ
焦るのはH側だ。
有力者を根こそぎ持っていかれたのだから、自分たちのグループが孤立するピンチになってしまっていた。
たとえご主人たちの3番目グループを引き抜いたとしても、1・2番目グループが加わった敵軍には敵わない。
そうして、俺からすれば不思議なのだけれど、なんとまあ【クラスが二つに対立する事態】に陥ったんだ。
発端はたかがナンパについてだぜ?
冷静になれば良いのに、皆テンションを間違えちゃってるから、古典的な演技のノリになっている。
だから時々女はばかみたいだと言われるんだぜ?しっかりしろよ。
透明人間に言われてんだぜ?
【教室は殺伐とした滑稽な世界】となり、ご主人は《勘弁してよ》と、また苛々したみたいだ。
この人の思考は他の女子に比べてズレてる気がする、自己中心的なんだ。
だからね、《こんな風に分裂したら、私が楽しくなくなるでしょ》ってのが本音なんだよ。
いつもいつも周りの奴らが作る状況が自分にどれぐらい影響するのかって気にしている――ご主人は自分の可愛い女子高生ポリシーがものさしなんだ。
人を思いやるからの感覚じゃなく、そう、儲け主義のダメなビジネスマンみたいに自分の幸せの為しか考えない。
自分がものさし。
とてもお手本にはできない汚い心の持ち主だな。
そんなご主人の心は俺が住んでいる場所、――ああ、だとすれば俺も同類だ。俺も薄汚い野郎だね。