したたか舌打ち、ジメジメいじめ


ある日のこと――

『えーっ、Iちゃんマジでビッチ!! 私とどっちがワガママお子様よ? どうよ?

私ってばめっちゃ自分ってジコチューって思うんだ!! 私ってばワガママな娘さん!!

Iちゃんは? ワガママガール?!』


ケラケラ笑って、ご主人は教室の窓を今ちょうど開けようとするIちゃんに言った。


『風が強いのでやめて欲しい』と、【ひそひそ他の女子が文句を言っていた】からだ。

『ほら、またIちゃんが……』と、【アイコンタクトをとっていた】からだ。

ご主人は【そういう悪口】は聞きたくないし、【そういう目線のやりとり】は見たくない人。

自分の気分が悪くなるからで、Iちゃんが可哀相とかいう優しさからじゃなく、あくまで自己中心的な女な点は忘れてはならない。


『プリントが飛んじゃうってー今日風強いじゃん? なに、本当はスカートめくりさせたいの?』

ご主人のお喋りにまあまあ笑いの起こるクラス。

笑うIちゃんは、『そっかそっか』と、おとなしく窓を閉める。


たったそれだけのこと。



だけど――――

――俺、嫌いだ。
今、窓について文句言った女。人間的に無理。


だって。だって、聞いてくれよ。


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