もう一つの甲子園
ありえねーって言ったって、現に雅人が勝負してるじゃないか!」

タコおやじは、いつにない口調で言った。
「やつは、高木洋一郎は5年前の432のセッティング中に不慮の事故で亡くなってんだ!」

エーッと二人は驚きの声を発した。

「す、すると雅人は高木洋一郎の幽霊と勝負したっていうのか?おっさん?」

「いや、幽霊じゃねぇ亡霊だ」

幽霊でなくて亡霊?タカと雅人が首をひねって考え込んでいると。

「正確に言うと、亡霊に取り憑かれた誰かだ!」

するとリリリリンと店の電話がなった。

「もしもし、川辺モータースですが」タコおやじが電話にでると。

「やっと、探し出しましたよ。」と静かに電話の相手は答えた。

「どちら様?」

「龍二です」

「リュウジ?」

「高木洋一郎の弟の龍二です」

タコおやじの顔が一瞬ゆがんだ。

「それで?洋一郎の弟が、今更 俺になんの用だ?」

「決着を付けに来ました」
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