もう一つの甲子園

覚醒

夏休みの最初の日曜日。早朝

「よし！ヨンフォア君、今日は、沢田さん達のツーリリングだからな宜しくな」

タカはヨンフォアのエンジンをかけて雅人の家に迎えに行くとすでにサンパチのエンジンを暖機しながら待っていた。

「よぉっす！サンパチには慣れたか？」

「まあな、この前の４３２と勝負した時はタコだったからな」

「ははは、じゃあ、タコとサンパチでタコハチが走ってたのか？」

「タカ、ほんと頭と同じ口悪いな」

「まあまあ、本当の事だから～よ～」

「ブッコロス！」

二人はいつもの冗談の会話をしていた。

「タカそろそろ行くぞ、遅れると沢田さんのヤマ悪いからな」

「よっしゃ！」


気合を入れて出発した二人を待っていたものは？・・・・

集合場所に到着した二人は目を輝かせながらメンバーのバイクに目をやった。

「すげーよタカ！Ｚ２やCB750（ホンダの名車）が一杯じゃねーか」

「よれよか、沢田さんに挨拶行くぞ、雅人」

二人はすぐに沢田を見つけ、駆け寄って行き挨拶をした。

「沢田さん、おはよっす！」

「よう、二人共来たか、お前達は新米だから一番後ろな」

そう言うと全員の前方に向かい小高い所に立って大きな声で、今日のルートとバラバラになった時に落ち合う場所を説明しGOのサインを出した。

全員がエンジンをかけ始め、なんとも言いようの無い緊張感に包まれた。

ウォン、ウォン、ウォーーーン、ゴオーーー！様々なバイクの音が入り混じりる中、沢田のＺ２を先頭に総勢３０台のバイクが出発した。