もう一つの甲子園
怪物432とモンスターZ2の決戦の日は一ヵ月後と決まった。

数日後、タコおやじの店に沢田がいた。そこへ、暫くしてタカと雅人がヨンンフォアとサンパチに乗って来た。

「沢田さんこんつわっす!」二人は声を揃えて挨拶した。

「沢田さん、大変な事になっちゃったすね?」

「そう、思うかタカ?俺は楽しみにしてんだけな」

「楽しみっか?あの432は半端じゃないよなあ、雅人」

「そうそう、めちゃ速いっすよ」

「だから、面白いんじゃねーか」沢田は自信満々のように答えた。


するとタコおやじがそばに来て
「今から峠にシェイクダウンしに行くから、お前達も手伝いに来な」

タカはシェイクダウンの意味も知らず「行く、行く」と答えてしまった。
(シェイクダウンとは組み立てられたエンジンを慣らす為に回転を押さえて走る事を言う)

「俺と沢田はワゴンで行くからお前達はバイクで後からついて来な」

二人は頷いて、止めたばかりのエンジンに火を入れた。

「雅人、丁度いい所に来たな」

「ああ、初めてモンスターの走れるのが見れるな」


二人は、わくわくしながら片道1時間の道のりを付いて行った。


峠に着くと早速モンスターZ2のエンジンに火が入れられた。

ウォン、ウォン、ウォン!タコメーターの針は16000回転を指している。

「沢田、今日は11000回転までだ」

「わかりました!」そう言ってモンスターZ2はゆっくりと発進した。

ウォッ、ウォッ、ウォッ、ウォーーーーン!

Z2が左コーナーを抜けて見えなくなると、タコおやじがタバコに火を点けて一腹始めた。

「おっさん!」タカは聞いてみたい事があった。

「なんだ?」

「どっちが速いんだ?」

「さあな、どっちもどっちだ」

気の無い答えに二人はガクッときた。

「おっさん、マジに答えてくれよ」タカがもう一度聞くと

「俺はいつでもマジよ、紙一重の差で決着が付く俺はそう見てるがな・・・」











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