もう一つの甲子園

前哨戦

タカの後ろから玲奈のＧＴＲが迫る。

「あらあら、ぜんぜん乗れてないわね。それにラインもメチャクチャだわ」

確かにタカのラインはセオリーに反していたが１０分ほど走ると体が慣れてきた。

「なんとなく、わかってきたよ。Ｚ２！お前の性格が」


タカは後ろのＧＴＲが気にならなくなった。

「タカ、少しは乗れて来たみたいだけど・・・まだまだね。次のコーナー立ち上がりで抜いてあげるわ」

短いストレートが終わると見通しの良い右コーナーへと続く。タカはブレーキをかけたまま、一速シフトダウンしてコーナーヘ突っ込んだ。


玲奈のＧＴＲがコーナー出口で並んだ！タカはゆっくりとスロットルを開けて後輪をコントロールしながら進行方向へと前輪を向け加速体制に入った。


Ｚ２はフル加速し、ＧＴＲを前に行かせない。長い直線に出たZ２は３速でタコメーターの針が11,000を指した時フロントが軽く浮きそのまま４速へチェンジすると、すぐに、左のブラインドコーナーが迫って来た。


タカはインベタで回りブラインドが開くのを待つように視界が開けるのを待った。

「タカ、なかなかやるじゃない。そろそろ本気になるよ」

ＧＴＲも３速全開でブラインドを抜け、タカの２ｍ後ろにピタッと張り付いている。



タカの全神経がスロットルに集中した！

Ｚ２はブラインドを抜け前輪を浮かしたまま、次の右コーナーへと侵入していった。



「早い！まだ、荒削りだけど天性のものがあるわ」後ろからタカの走りを目の当たりにした玲奈は直感めいた何かを感じた。





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