もう一つの甲子園
ハ~ハッハッと笑う間もなく、ゴンッ!タコ親父のゲンコツが俺の脳天に火を噴いた。

イテテテ~なんだよ~、今日はゲンコツデイかよ~。
と思ったがそれよりも聞きたい事があったのでブツブツ小声で叫んだ。

「ところで、おっさんさ~。
さっき沢田さんに聞いたんだけどZ2のモンスターってなんだよ?」

「あ~んっ?お前ぇのような毛も生えてね~ような、ガキには教えられねぇよ!」

「俺、ガキじゃねーよ、毛もふさふさしてて~おっさんの頭みたいにハゲじゃないしぃ~」

「バカヤロウ!俺のは剃ってんだ。ハゲじゃねぇっ!トライアスロンにはこのハゲが、いや剃った頭が風の抵抗に、ならなくて丁度いいんだよっ!」と自分の頭をペチペチ叩きながら大声で自慢そうに話始めた。

んっ?と俺が首を傾げてると。

「トライアスロンっていうのはな~」と話に熱くなりそうになった時、沢田さんがタコ親父の肩をポンポンと叩いて店の入り口のほうを指指した。

その指先にはショートカットのポッチャリめの小さな女の娘が入りにくそうにしていた。

あっ!可愛い!俺のタイプ!と思った瞬間に心臓の鼓動が横の沢田さんに聞こえるのではと思うくらいドキドキと・・・
なんだよ、この高鳴りは・・・

その時が俺と美奈との最初の出会いだった。

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