もう、お前しか愛せない
「絢っ?!」

私は無意識のうちに走り出していた。

あの場所へ…



後ろから私を呼ぶ隆平くんの声を無視して、私は廊下を懸命に走った。

そして、長い階段を駆け下りて、靴を履き替えないまま外へ。



そして、体育館の近くの大きな木の下へ…



こっそり近寄ると―


いたっ!!


渡瀬くんの姿が見えた。

そして、目の前には…

壁に寄りかかって苦しそうにしている卓ちゃん。


よく見れば、体中が傷だらけ。


私は思わず叫んでしまった―



「卓ちゃんっ!!」


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