もう、お前しか愛せない
パッと絢の方を見ると、後ろに見た事のある人物―


梢さん?



俺はあの時、してはいけない過ちをした。

少しかっこつけたかった。



このコトが絢の耳にでも入って、

「卓ちゃん、かっこいい!」

とか。


「卓ちゃん、優しい!」


などを言われることを期待したかった。



けど、こんなことになるなって予想してなかったんだよ?

絢…俺、バカだよな。



座り込むと同時に、渡瀬も座り込んだ。

泣き始めた渡瀬を見て、俺は怒りがこみ上げてきた。


女の気持ちを知らなかったから…お前がいたから。

< 173 / 213 >

この作品をシェア

pagetop