聖夜の恋人
「のっちかっこいいじゃん!でも安心するのわかる。中川さんの匂いって緊張するんだけど小池君の匂いは安心する感じ」
「小池君マジいい男だわ」
「てか麻紀なんで小池君のこと知ってるの?」
「え?あー今度教える。まーとりあえずがんばりなさい」
「うん!のっちによろしくね」
「はいよ。おやすみ」

クリスマスまであと十日。
気合い入れて突っ走るしかないな。どうあれ今年は良いクリスマスになりそうだ。
暖かく気持ちの良い昼下がりの午後。休日にはぴったりの天気だ。
今日は久しぶりに街へ繰り出した。まずは美容室。
「今日はどんなカラーにしますか?」
「うーん、なんかクリスマスっぽい可愛い感じの色ってありますか?」
「はい、それでしたらキャラメルチェリーなんていかがですか?今年から出た新作なんですよ」
美容師は嬉しそうにそういって色のイメージを見せてくれた。
赤っぽい茶色ベースにキャラメル色の艶感の入ったクリスマスらしい可愛い色だった。
私はその艶感とピンク色に近いラズベリー色のグラデーションに惚れて即答した。
「これでお願いします」
「かしこまりました。お客様お似合いだと思いますよ。それと、艶感を目立たせるためにトップラインを少し軽めにしませんか?」
「はい。お願いします!」
今の髪型は胸くらいまでの長さで前髪は斜めに流していて落ち着いた感じだったが今回は少し色も明るめだし軽めにしてもらって前髪も短く切ってもらう予定だ。
美容院にはたくさんのファッション誌が置いてあるのでこれから買い物に行こうと思ってる人にとってはとてもありがたい。
街だけでなく雑誌の中もクリスマス一色だった。“大好きな彼の心を独り占めワンピ”“聖夜の真っ白コーディネート”などおもしろいフレーズのものがたくさんあり、興味津々で目を通した
どのページを見ても中川さんのことを思い浮かべてしまいウキウキして口元が緩くなった。
こういう気持ちって恋をしてる女の子の特権なんだろうな。と実感した。
雑誌をめくりながらすごく幸せな気持ちになった。
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