聖夜の恋人
「板前さん男前なのに笑うと可愛いんだね」
「そうなんですよ。いつも笑ってればいいのに。それいうと怒るんですけどね」
「じゃあ言わないほうがいいっか」
「すいません」
そんな話をしながらビールで乾杯した。
彼が前菜と言っていた料理はマグロのカルパッチョに煮物だった。
「これもアンバランスなんだけど美味しいんです」
「あっ本当。この煮物すごい美味しい!」
「ここ料理は格別なんです。なんか嫌いなものとかありますか?」
「うーん、辛いものはちょっと苦手だけど他は特に。オススメ品お願いします」
「わかりました!そしたら俺適当に頼んでおきますね」
「うん」
なんだかすごく楽しかった。初めてご飯食べたなんて思えないくらい。まだ何も知らないのに。

「そういえば小池君っていくつなの?」
「あっ俺24歳です」
「やっぱり。年下だと…えっ!来年25歳?」
「そうです!矢口さんと同い年ですよ」
「ごめん、なんか小池君いつも敬語だし丁寧だから年下だと思ってた」
「そんなことないですって。まぁ一応矢口さんのところお客さんですからこっちが丁寧で当たり前です」
「あっそっか、そうだよね」何あわてるんだろう私。
「あと俺ガキっぽいんでよく年下に見られます。嫌なんですけどね、本当は」
「小池君可愛いからだよ…」
「はい?」
「ううん、なんでもない。じゃあ敬語ここではやめない?」
「はい。あっ…クセで出ちゃいますよね」
小池君は照れ笑い浮かべ、「慣れるかな」といった。
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