聖夜の恋人
それから二人で仕事のことや友達のこと、学生時代の話で盛り上がった。
一番びっくりしたのは二年間留学をしていて英語がとても好きだということ。英語が苦手な私にとってとても尊敬できる一面だった。
同い年ということで好きだったドラマや曲などの話も合い、同級生と話しているようでとても楽しかった。
「あっもうこんな時間」
「本当だ。もう11時過ぎですね」
「楽しくて気付かなかった。そろそろ帰らなきゃ」
「そうですね。残念です」
「あっまた敬語。さっきまで普通に話せてたのに」
「あはは。ついつい、あっ送ります。家目黒ですよね、俺今日おやっさんとオールナイトなんで」そういって板前さんを指した。
「仲良いんだね。いいよ、寒いし」
「じゃあ駅まで送らせてください」
「ありがとう、じゃあ駅までお願いする」

店を出ると冷たい風が二人の頬を刺した。
「寒いね」
「本当、夜が深くなるほど冷え込んできますからね」
イルミネーションの明かりが少しづつ消えていきさっきまでの賑わいが嘘のように落ち着いていた。
冬の夜の静けさが二人の会話を緊張させた。

「あっ矢口さん」
「う、うん?」
「言い忘れてました。髪型すごい可愛いです!すごい似合ってるし」
「ありがとう。楽しくて髪切ったのも忘れてたわ」
本当に今日一日していたことを忘れるくらい楽しかった。
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