聖夜の恋人
というメールが来たっきりだった。
わりとすぐに返事を返したのだがそのあとは返ってこなかった。なんとなくつまらないと感じて何かを期待していた自分に気付いた。
一時間おきに携帯のメールをチェックしながら家でダラダラ過ごした日曜日だった。
サザエさんが始まったとたん憂鬱な気分になり、サザエさん症候群にかかってしまったと慌てて麻紀にメールした。
駅を降りてもう一度直樹のメールを読み返した。最後の顔文字が直樹らしくて安心した気持ちになった。
すぐに返してしまいそうになったが昨日のことを思い出して作りかけの文章を削除しバックに入れた。

「おはようございます!」
「本日もお客様に精を尽くしてがんばりましょう!」
「はい!!」
「日直からです。本日は…」
全体朝礼が20分もある部署は珍しいと言われてるくらい話の長い部長にみんな参っている。
大事なのはわかるが立ちっぱなしというのをやめてほしい。

「おはようございます!」
朝礼の途中ドアが開いて男性の元気な声が聞こえた。この声は…
振り返るとやはり中川さんだった。胸がドキッと高鳴った。
「朝礼中失礼します!本日この部署を担当させて頂きます中川です。よろしくおねがいします!」
え!!中川さんと一日一緒に仕事するってこと?!
中川さんは私の方を見てニコッと笑ってくれた。胸がキューっと締め付けられた。

朝礼が終わりみんなが席に着く。中川さんの席をこっそり探した。
いた!中川さんを見つけた。隣に部長が嬉しそうに座っていた。中川さんのことを部長が気に入っているのは誰もが知っていた。
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