聖夜の恋人
「どういう関係なの?」
「実は小池くんってのっちの後輩なのよ」
「え!そうだったの?!」
「ごめんごめん。別にわざと黙ってたわけじゃないんだけどね」
「そうなんですよ。野村先輩にはかなりお世話になりました」
「高校のとき部活とバイトが一緒だったんだって。私も聞いたときびっくりしちゃった」
「だから麻紀知ってたんだ」
「そういうこと!小池君の恋愛話とかいろいろ聞いてるよ」
「やめてくださいよー!」
「好きな子いるの?」私は思わず聞いてしまった。
彼はびっくりした顔をしたが下を向きながら「います」といった。
「ずっと前から好きだった子に今年中には告白するんだってさ」麻紀がニヤニヤしながらそう付け足した。
「俺がんばります。あっこれ配達です!」といって急ぎ足で帰っていった。

「小池君好きな子いたんだ」
「うん。私も何回か聞いたことあるんだけどね。応援してるんだ」
「そっか」
ものすごく沈んだ気持ちになった。
中川さんの笑顔と直樹君の可愛いメールが頭の中をグルグル回っていた。
私は何がしたいんだろう。思考回路が低下しているように感じた。
目が覚めると11時を過ぎていた。
会社が終わって足早に帰りそのまま寝てしまったのだ。
化粧も落とさず服もそのままだった。スカートがクシャクシャになっていたのに気付き起き上がって服を脱いだ。
下着のまま冷蔵庫に冷たい水を取りにいった。喉が異常に渇いていた。
「おいしい」冷たい水が体の中の悩みを流してくれるように感じた。
少しすっきりした気分になりテレビをつけようとリモコンに手をかけたとき携帯が鳴った。
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