聖夜の恋人
着替えが済みベットに横になろうとしたときメールが来た。
『今日はありがとう。本当にごめんね。 中川』
読んでから涙がまた出てきた。
「なんでよ!!」そう叫んでシャワーを浴びた。
冷たいシャワーの水が興奮した気持ちを冷やしてくれた。
ごめんねもありがとうも言われたくない。このメールは彼への気持ちを諦めなければいけないというメッセージであった。

シャワーから出て鏡を見ると泣きすぎたせいで目が腫れていた。
「こんなに泣いたっけ…」
瞼が重くなって目を閉じた。瞼に触れると熱く火照ってじんじんしていた。
中川さんと初めて交わしたときの挨拶、おしゃれなネクタイ、笑ったときくしゃっとなる優しい目、いつも私を心地よく酔わせていたバニラのような甘い匂い。
そして食事を共にした幸せな時間。それは走馬灯のように途切れることなく頭の中を埋め尽くした。
中川さんのために買った白いワンピースも無駄になった。
髪のクリスマスっぽい色にして下さい。なんていわなきゃよかった。
必死になって夢を見た自分がバカみたいで笑えてきた。
明日は最悪な週末になりそうだ。
携帯の音で目が覚めた。
急いで携帯を開くと知らない番号からだった。
もしかして。と思ってしまったので深くへこみ、目覚めの悪い朝になってしまった。時計を見ると昼の一時を回っていた。
寝すぎてしまったので体がだるい感じだったがたくさん泣いたせいか頭は少しすっきりしていた。
テレビをつけ、ソファーの上で伸びをしながら今日は着替えなくてもいい日にしようと決めた。
< 34 / 41 >

この作品をシェア

pagetop