聖夜の恋人
『もしもし』
『純子ちゃん?帰ってきたよ』
『おかえり』直樹の優しい声を聞くと胸がキューっと締め付けられた。
『電話くれてたみたいだね。出れなくてごめん、ずっと携帯ホテルに置いたままにしててさ。朝知らない番号から来てたでしょ?あれ俺なんだ』
『そうだったの!』
『うん、我慢できなくて会社の人に携帯借りて電話しちゃった』
『え?』
『まだわかんない?』
『今日、ずっと前から好きだった子に告白するんでしょ?』
『うん。今日告白するよ。その子が予定あるの知っててもどんな形でも』
『じゃあなん…』
『好きだよ』
一瞬何が起きたのかわからなかった。ドキドキが最高潮に達し放心状態になった。
『電話なんかで言ってごめん。』
『ずっと前から好きだった人って…』
『そう、純子ちゃんだよ。純子ちゃんが俺のこと気にもしてなかった頃から、そうだなちょうど一年くらい前から。ずっと好きだったよ』
『本当に?』
『うん。あっ今窓開けてみて』
私はすぐにカーテンを開けた。すると直樹が花束を掲げて立っていた。
『うちなんでわかったの?』
『ごめん、麻紀さんに教えてもらったんだ』
『今私も行く』そういって電話を切り、溢れそうな涙をこらえ鏡で顔や髪を軽く直して急いでドアを開けた。
「メリークリスマス」
「わぁ!」
「びっくりさせてごめん。来ちゃった」直樹は照れくさそうに花束を渡した。
「ありがとう!」大きなバラの花束に小さなメッセージカードが添えられていた。
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