聖夜の恋人
『ずっと前から見てました。
愛してます   直樹』

「純子ちゃん白いワンピース似合ってるよ。可愛い」直樹は無邪気な笑顔を浮かべながらそういって私を抱きしめた。
「直樹君…」ウルトラマリンのさわやかな香りが私を包んだ。溜めていた涙が一気に溢れ出して彼の服をぎゅっと握り締めた。
「言えてよかった」
「私も、ずっと直樹くんのことが気になってて」
「純子ちゃんがクリスマスに告白するなんて言うからもうダメかと思った。あの時は強がって応援するなんていったけど悩みすぎて飯もろくに食えなかった」
直樹は笑ってそういった。
「俺とつきあってください。幸せにします」
「うん」
不思議と中川さんのことが遠い昔のことのように感じた。
私が中川さんに必死になってるとき直樹は私のことをずっと思っていてくれたんだ。最近出会った人だなんて思ってたの私だけだったんだね。
私はやっと居場所を見つけた気がした。

「あっもうこんな時間だ。のっち先輩のパーティ!一緒にいこう」
「やっぱり直樹君も呼ばれてたんだね」
「俺は毎年。彼女紹介できるようにがんばるって毎年いってて今回が初めてなんだけど」彼は照れ笑いして手を差し伸べた。
私が手を取ると彼はぎゅっと握りしめてくれた。幸せな気持ちになった。
車の中でも手をしっかり握り合ったまま直樹の車で麻紀の家に向かった。
「いらっしゃい!」
「おじゃまします」
「二人が来るの待ってたわよ」麻紀はニヤニヤしながらそういった。
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