聖夜の恋人
私は裏の倉庫に駆け込んで一番大きいサイズを見つけてきた。
入るか入らないかの微妙なところだが一か八かで試着してもらうことにした。
「お客様こちらにどうぞ。ブラジャーをお外しになられましてご準備が出来ましたらお呼びください」
「わかりました」
「純子よろしく」麻紀が小声で言ってきた。
「がんばってみるけどわかんないからね」
「おねがいしまーす」
「はい、失礼します」
カーテンの中に入るとFカップの大きな胸と無駄についた背中の肉がブラに喧嘩を売っているように見えた。
私は気合を入れなおして、肉と戦った。
背中の肉をかき集めてどうにか収まるように必死に戦った。
「わぁーお似合いですね」
「ちょっとキツイ気もするけどこれくらいで大丈夫かしら」
「ええ、肌に馴染んでいきますので苦しくないようでしたらこのくらいで大丈夫です」
「そう。じゃあこれと、これのセットで」
「ありがとうございます」
カーテンを開けて麻紀にOKサインを出した。
40歳過ぎの大柄なおばさんは真っ赤なクリスマス使用のブラとTバックをうれしそうに買っていった。
誰に見せるかはわからないがあのうれしそうな顔は下着を見せるだろう男の顔を浮かべていたに違いない。
クリスマスが楽しみなのは決して若い男女だけではないのだ。
「お疲れ!」
「お疲れー今日は疲れたよホント」
私と麻紀はビールのグラスを合わせた。
「なんか今日客多かったもんねーしかしあのおばさんTバックをセットにするとはねーどんな男と寝るんだろうね」
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