粉雪舞い散る桜の匂い
「言ったろ?あの桜は特等席だって。君はよくあの桜の下で好きな人や友達みんなと笑って、一人の時は、泣いていた。そこで君の名を知った。桜の樹の上で、」
(み、見られてたんだ!?)
恥ずかしい~と、リツはココアを握り締め、うつむく。
「そうヘコまないで。君の人物相関図知ってる俺の方がヘンなんだって、どんだけ暇なんだよ、って話しだろ?」
あははっ、思わずリツは笑った。こんな風に笑うのは、久し振りな気がした。
「よかった、やっと笑った」
「え?」
サクヤは自分の額をトントンと軽く叩く。
「ここ、眉間にシワ。何か堪える様に、ずっと難しい顔してた」
「え!ウソ?」
バッと思わず、リツは片手で額を隠した。