粉雪舞い散る桜の匂い

あはははっ、
 今度はサクヤが大きな声をたてて笑った。


煙草の煙が白く舞い上がる。

リツは、うー、とむくれ、額のシワを指先で伸ばしながらも、心があたたかくなるのを感じた。


(不思議な人…)

チラと、サクヤを見て、そう思う。

サクヤの煙草の匂いか、ココアのおかげか、
不思議と心が落ち着いて、
居心地がよかった。


『五時にいつもの時計塔で待ってる』
 
昨日、いつもの調子でそう言った先輩。

 
 このまま

 サクヤさんと一緒にいたら、
 五時なんて、あっという間に過ぎるだろうな…




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