粉雪舞い散る桜の匂い

煙草のくゆる煙を、あの桜の樹の方へ向け、

「先に、あの桜で待ってる」
 
そう言って、リツに背を向け歩き出す。



「まだ五時まで、時間あるよ?」

 
 何でもお見通しのサクヤさん。

 
 知らないフリをしようと必死になりながらも、
 泣いていた弱さも、

 流れにまかせて、
 自分で考える事をやめようとした、ズルさも、


 見逃してくれないんだね。





< 15 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop