粉雪舞い散る桜の匂い

リツは二個目のチーズまんをほおばりながら、

「うそばっかり、私のコト何でもお見通しなんでしょ?」
ちょっとイジワルな言い方をした。



「気付いてるんでしょ?
 私が先輩と今、別れてきたコトも」


さすがに、サクヤはくわえていた煙草を落としそうになる。


「…いや、それはまた、展開早いね」

「うん。自分でも決断の早さに、後からビックリしちゃった」


でも、と、リツは夜空の月を見上げ、

「あれこれ難しく考えてたのに、たった一つのコトで、簡単に答えは出たんだ」

 思い出す。


 差し出された、先輩の掌、


 つなぐコトは出来なかった。



< 20 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop