粉雪舞い散る桜の匂い
 
 先輩の掌つなぐ、誰かの掌。
 
 私じゃない誰かの掌。


(誰?だ、れ…?)


チラリと見えた、ゆるくカールした明るい髪。

見えて、気付いた時には、走っていた。逃げる様に。隠れる様に。


 走って、走って、辿り着いた桜の下。
 

涙溢れ、足が震え、その場に崩れ落ちた。


何を考えたかよく憶えてない。
何を思ったかよく憶えてない。

 ただ、ただー


(時間……ちゃんと守ればよかった…)

 と、何度も何度も、悔いた。






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