好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


確かに、私は元気がなかったかも知れない。


でも、そこにでっかい拍車を掛けたのは、浩二自身だ。


それなのに。


落ち込ませた張本人が『ものすごく落ち込んでいるみたい』だって、伊藤くんに私の気晴らしを頼んだ?


なに、この矛盾。


いったい、浩二は何がしたいの?


浩二の、目的は何?


その行動が、導き出すだろう結果はどんなこと?


頭の隅に、何かが引っかかった。


待てよ。


例えば。


私と伊藤君が、まかり間違って、くっついたとする。


その結果、何が残る?


私と伊藤君、浩二、そして残るのは――。


まさか。


私は、一つの可能性に思い当たった。

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