好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

ボランティア?


ボランティアって、ぬかすのか?


片思いの可哀想な従姉に、せめて一時の思い出をってか!?


ビリリ! と、


私の堪忍袋の緒に裂け目が入る。


「あの写真って、ハルカよね?」


すうっと、右手を上げて天井板の人物写真を指さし、浩二の顔を見据えて言う。


少しぐらいは、バツの悪い表情を見せれば、かわいげがあるのに。


「ああ、良く撮れてるだろう?」


なんて、ニコニコと目尻を下げる始末。


こうなりゃ、最後の手段だ。


「一つ、質問するけど」


「ふん?」


「あんた、ハルカのこと好きなのと違う? はぐらかすのはナシね。

女として、好きか、嫌いか、どっちかよ。

分かった!?」


昨日の浩二のクソ意地悪い質問を、そっくりそのまま返してやった。


少しは、反省してみろ、おたんこナスビ!

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