好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

ぜぇはぁと、


思わず、上がった息の下。


『どうだ参ったか』とばかりに、浩二の反応を見つめた。


でも。


浩二は動じない。


あまつさえ、動じないどころか、『ふっ』っと鼻で笑いやがった!


「好きだけど、それがどうした?」


いつもよりも、低いトーンの浩二の声音に思わず息を呑む。


「なっ、なによ、開き直るの!?」


「別に。もともと閉じてないから、開けないな。俺は、オープンなのが、取り柄でね。って、そんなこと、亜弓が一番良く知ってるか」


クスクス笑うその態度に、私の堪忍袋の緒は、もうブチ切れ寸前。


こいつ。


人をおちょくって、面白がってる!?

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